研ぎ澄まされた感性を持つ、本場の雪国っ子。

おととい・・・

長野県出身で白馬在住の全日本技術選出場中の選手が、縁あってご来店。

選手をしながら、スキーチューンナップやレンタルサービスなどの店で

バイトしているそうですが、そのお店でブーツのチューンナップなども

少しずつできるようにしていきたい・・・ということで、研修に来られた

のが本来の目的なのでした。

 

まずは、インソールのお話をして・・・・

ブーツ作業初心者向けの痛いところを出したり、広げたりという応急処置的な、

或いは対処療法的な作業の習得を今回のテーマとしました。

 

小さな頃から雪国育ちで、あるモノを与えられたままに、感覚の中で使い

こなしてきたのが実情で、ようやく大人になってから、小指の付け根あたりが

痛くて我慢できなかったので、ブーツチューンナップを経験したとのことでした。

(実際には、痛いところを広げただけなので、チューンナップではなくて、

対処療法的な作業をして痛みが出ないようにしただけなのですが・・・)

 

想像通りです。小さな頃からスキーに親しむ雪国の選手や上級スキーヤーの

皆さんって、案外、こんなもんな人が多いんですよね。周りに有名な

スキーヤーがいっぱいいて、所詮は腕だ・・・道具は二の次三の次・・・・

みたいな考え方が当たり前にまかり通っているのも本音。

あながち間違いではないとも思います。上手い人は、最低限何を使ったって

最低限のパフォーマンスは発揮して滑ることができますもんね。感性で。

 

今回は、ブーツチューンナップと対処療法(応急処置)は全く異なるものだと

いうのを理解してもらうために、ご自身で使用中のブーツも持ってきてもらい

ました。

 

足とブーツを見比べながら・・・・

「この足でこのブーツだと、右外足のターンの時にカカトが踏めずに、

シェーレンが出たり、カカトを踏みに行くと後傾になったりするだろうね。

ポジションも前傾過多になりやすいから、ブーツを前に押しつぶしすぎる

だろうね。右外足は特にポジション取りが難しいだろうね・・・・膝も内に

入りすぎるだろうし・・・でも左外足はシルエットもポジションも悪くは

ないと思うよ・・・」

 

といった、ピステでいつもお客様と話す、相性の指摘をしただけでしたが、

「それって僕のクセなんじゃないんですか??? 自分が悪いから、それを

直そうと思ってずっと練習してるのに、どうしても克服できなくて・・・」

とのコメントでした。

ブーツを履いている姿や、チェックの仕方を見ていると、さすがに雪国っ子!!

研ぎ澄まされた感性を持っていることは充分に伝わってきますが、相性や収まり方

が原因とは気づいていない・・・もったいない。

 

「いやいや、自分が悪いんじゃなくて、右足がブーツに収まった時に、そういう

動きしかさせてくれない収まり方になる相性があるだけで、左足の状態に等しい

収まり方に改良すれば、左右差がほぼなくなるよ。同時に痛くないようにもして

ポジションもよくなるように、トータルでブーツを個々に合わせていくのが

チューンナップであり、フィッティングなんですよ」

と伝えますが、本人は半信半疑。っていうか、まず想像できてない。

 

「じゃあ、本当の意味のブーツチューンナップを自分自身で体感してみるしか

理解のしようがないから、やってみましょう!!」

 

・・・いつも通りの作業・・・完成・・・足入れ・・・笑顔と驚き!!!!!

 

「さっきまでブーツ履いてやろうとしてできなかった動きやポジションが、いとも

簡単にできる!! 腰の位置も高くなったし左右差を感じない!! フィット感も超

ナチュラル・・・これヤバい!! 真ん中が踏める!! これなら、やりたいことが出来る!!

このブーツが自分のベースになったら、問題のあるブーツはすぐ分かるように

なるな〜!! まじヤバいわ〜」

ということで、ブーツチューンナップとは・・・・をご理解いただけた様子に

ホッとしたのでありました。

 

しかし、足入れしてみて、一発で変化したブーツと自分の運動がマッチングした

イメージにピンとくる辺りはさすがだなぁ〜と、関心しました。

西日本にはなかなかいない、研ぎ澄まされた感性に、こっちが驚きました。

こんなディスカッションは、初めてかも??? というくらい、ピンときてくれてます。

 

お客様のブーツを触るのは初心者ですから、まずは、対処療法や応急処置の作業

に慣れていって、将来、長野でたくさん幸せなスキーヤーを作ってくれることを

期待して研修を終えました。

 

選手としても準決・決勝に上がれるように、頑張ってほしいですね。

まだまだ24歳、先は長いので、これからも応援してますよ。

 

 

 

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